「糖質制限をすれば痩せる」と思っていませんか?実は、極端な糖質制限は体調不良・リバウンド・ホルモンバランスの乱れを招くことも。
管理栄養士が“やめてほしい理由”と、健康的に痩せる食べ方を解説します。
なぜ糖質制限がブームになったのか
「糖質=太る」と思っている人は少なくありません。
SNSやYouTubeでも「糖質を抜けば痩せる!」という情報が広まり、実際に短期間で体重が減ったという声も多いですよね。
しかし、実際は水分や筋肉の減少による“見かけの体重減少”であることがほとんど。
糖質を抜くことで一時的に体重は減りますが、代謝が落ちてリバウンドしやすい体になるケースが非常に多いのです。
糖質ほど優れたエネルギー源はない!
実は人間の体にとって最も効率的なエネルギー源がこの糖質です。
糖質(炭水化物)は、体内でブドウ糖に分解され、脳・神経・筋肉など、あらゆる細胞の“燃料”になります。
以下で、糖質が最も優れたエネルギー源であると考える理由を説明します。
① 脳はブドウ糖しか使えない
脳は体重の約2%しかありませんが、全エネルギーの約20%を消費する“エネルギー大食い臓器”です。
しかも脳が使えるエネルギー源は、ほぼブドウ糖のみ。
糖質が不足すると、集中力の低下・イライラ・判断力の鈍化などが起こります。
② 糖質は最も早く使える燃料
脂質やたんぱく質もエネルギーになりますが、代謝の過程が複雑で時間がかかります。
一方、糖質は最短でエネルギーに変換できるため、朝や運動前など、すぐに体を動かしたいときに最適です。
③ 糖質がないと他の栄養素もうまく使えない
脂質やたんぱく質をエネルギーとして使うためには、実は糖質の代謝がスムーズに働くことが前提です。
糖質が足りないと、筋肉のたんぱく質も分解してエネルギー源として使い始めるので、結果として代謝が落ちて痩せにくくなるのです。
つまり、糖質は“太る原因”ではなく、他の栄養素を正しく燃やすためのスイッチ。
完全に抜くのではなく、「適量・良質な糖質を摂る」ことが大切です。
錦織圭選手も糖質不足でパフォーマンス低下?一流アスリートが実践する“正しい食事術”
トップアスリートほど糖質を戦略的に摂っています。
テニスの錦織圭選手もたんぱく質中心の食事から炭水化物中心の食事へ変えたことで肉体改造に成功し、2014年の全米オープンでシングルス準優勝を果たしました。
(参考:『一流アスリートの食事』細野恵美 著)
糖質制限で失われた“瞬発力”と“持久力”
テニスは長時間にわたる試合と瞬発的な動きが求められる競技。
糖質を極端に減らすことで、筋肉中のグリコーゲンが枯渇し、エネルギー切れを起こしてしまいました。
結果、
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- パフォーマンスが安定しない
という状態に。
その後、栄養管理士のサポートで糖質量を見直したことで、体調が安定し、プレーの質も改善したと報告されています。
一流アスリートほど“糖質を抜かない”理由
『一流アスリートの食事』でも紹介されているように、スポーツ選手は「体を動かす=糖を使う」仕事。
糖質は“燃料”であり、制限ではなく“管理”するもの。
一般の人でも同じことが言えます。
「糖質を抜いて疲れやすい」「集中力が落ちる」と感じるなら、体がエネルギーを欲しているサイン。
糖質は“太る原因”ではなく、“動ける体のエネルギー源”です。
📖 参考文献
『一流アスリートの食事』(細野恵美 著/幻冬舎)
管理栄養士として多くのトップアスリートの栄養指導を行ってきた著者が、「糖質制限の落とし穴」と「本当に強い体を作る食事」をわかりやすく解説しています。
実は私も、管理栄養士養成課程の学生だった頃にこの本を読みました。
当時はまだ「糖質=太る」と思い込んでいた私にとって、「糖質を正しく摂ることが、パフォーマンスや集中力を支える」という考え方は衝撃でした。
それ以来、『一流アスリートの食事』は私のバイブル。今でも栄養指導や記事を書くときの原点になっています。
炭水化物の“適量”はどれくらい?【日本人の食事摂取基準2025年版より】
ここまで炭水化物をしっかり摂ることの大切さをお伝えしましたが、やはり「摂りすぎ」は太る原因になります。全体のエネルギーに対して適正量を保つことが大切です。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、総エネルギー量の50〜65%を炭水化物から摂ることが推奨されています。
1日のエネルギー摂取量の目安(成人女性・男性の場合)
| 性別 | 1日の推定必要エネルギー量 | 炭水化物の割合 | 炭水化物の目安量 |
|---|---|---|---|
| 女性(18〜64歳) | 約1,800〜2,200kcal | 50〜65% | 約225〜360g/日 |
| 男性(18〜64歳) | 約2,400〜2,800kcal | 50〜65% | 約300〜455g/日 |
普段の運動量、身長、年齢によって推定必要エネルギー量は前後しますが、上記が目安になります。
具体的な食品量でみるとこれくらい
| 食品 | 炭水化物量(1食あたり) | 摂取バランスの目安 |
|---|---|---|
| ごはん1膳(170g) | 約65g | 1日3膳で約195g |
| 食パン6枚切り1枚 | 約26g | 1食に2枚が適量 |
| うどん1玉(250g) | 約55g | 昼食に1食分 |
| バナナ1本 | 約20g | 間食・補食に最適 |
💡つまり、
「ごはん3膳」や「朝食に食パン2枚+昼食にうどん1玉+夕食にごはん1膳」に、「朝食や間食で果物」を足すことで、1日250〜300gの糖質量になります。
運動量の多い男性は、もう少し主食量を増やしてもOK。
まとめ|糖質を抜くより「正しく摂る」が正解
- 糖質は脳と体のエネルギー源
- 抜くと代謝・ホルモン・腸内環境が乱れる
- “良質な糖質”を適量に摂ることが健康のカギ
糖質を抜くことは、体のエネルギーを奪うこと。
“我慢”より“バランス”が、本当のダイエット成功への近道です🌿


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